所在地 | 〒004-0876 札幌市清田区平岡6条4丁目14-1 |
TEL /FAX | TEL 011-375-1239 / FAX 011-375-1839 |
診療内容 | 皮膚病全般 (特にアトピー性皮膚炎、乾癬など 慢性炎症性疾患の治療) |
ご案内図 | Accessページをご覧下さい。 |
診療時間 (休診日:日曜日・祝日・第5土曜日) |
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月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 | |
AM 9:00〜12:00 | ● | ● | ● | ● | ● | |
PM 2:00〜 .5:00 | ● | ● | ● | ● | ● |
「乾癬の原因は何ですか?」「アトピーはアレルギー何ですか?」患者さんからこのような疾患の本質をつく質問を受けることが度々あります。医学部卒業後2、3年目で教科書的な知識しか持ち合わせていない時期には、そのような質問には曖昧な回答しかできませんでした。患者さんに説明するためには、まず自分自身がその疾患の背景について十分に理解していなければなりません。そのためには、高度な基礎医学の知識が要求されます。そこで、一通りの皮膚科研修を終えた卒後4年目に北大大学院に入り、外来と病棟診療の合間を縫って北大免疫研究所病理部門(現、遺伝子病制御研究所病態研究部門免疫生物分野)で免疫学の基礎を学びました。さらに、大学院卒業後には米国テキサス大学サウスウェスタンメディカルセンター皮膚科に留学し、最先端の皮膚免疫学を学びました。
ご存知のように皮膚は人体で最大の臓器であり、消化管や気道と同様に外界に対峙し、皮膚をとおして侵入するさまざまな微生物や化学物質を認識し排除するシステムを持っています。代表的なものとしては、皮膚の樹状細胞であるランゲルハンス細胞と呼ばれる抗原提示細胞の存在があげられます。この細胞は表皮内で樹状突起を伸ばしてネットワークを形成するように分布し、表皮から侵入した外来抗原や異物を捕捉し、その侵入情報をリンパ球に伝えます。一方で、表皮の大部分を占める表皮角化細胞から産生される因子(サイトカインやケモカイン)が免疫応答の増幅、あるいは制御の調節を行い、異物排除を精密かつ迅速に行い、また過剰な反応の阻止作用により生態の恒常性を維持します。それゆえ、近年ではこのような皮膚の防御システムを皮膚随伴リンパ組織と呼び、その機能異常が乾癬やアトピー性皮膚炎などの炎症性皮膚疾患を引き起こすのみならず、水疱症などの自己免疫疾患、メラノーマ、皮膚リンパ腫などの腫瘍免疫、さらには紫外線やストレス物質などに対する反応にも関わっていることがわかってきました。そのため、ありとあらゆる皮膚疾患が皮膚免疫機構と何らかの関わりを持っていると言っても過言ではなく、皮膚の生理機能や疾患を理解するうえで皮膚免疫学を避けてとおることはできません。幸いなことに、8年間の留学期間中には数多くの研究成果を上げることもでき、皮膚免疫学のフィジシャン・サイエンティスト(臨床医の目を持つ研究者)としての自信もついた頃に、もう一度臨床の現場に戻ることを決意しました。
帰国後の開業準備期間中は、北大皮膚科時代の恩師であり、現在札幌市北区で開業されている小林先生の元で外来診療を再開することにしました。小林皮膚科クリニックには一日200人以上の患者さんが訪れますが、その中には他の病院で適切な治療を受けていたにもかかわらず、疾患について十分な説明をうけていなかったため、あるいは満足できなかったために不安が募って来院される患者さんが少なからずいらっしゃいます。そのような患者さんに、フィジシャン・サイエンティスト(研究者の目を持つ臨床医)として疾患について最新の情報を交えてわかりやすく説明することは、我ながら好評を得ていたのではないかと自負しています。また、皮膚免疫・炎症のメカニズムを理解していることが、各疾患に適した治療を選択することにも大いに役立っていると実感しています。
この度、2009年10月1日より札幌市清田区平岡にてエムズ皮膚科クリニックを開設いたしました。新しいクリニックにおいても、引き続きevidence-based medicine (根拠に基づく医療)とともにscience-oriented medicine (科学に由来する医療)を実践していきたいと考えています。乾癬、アトピー性皮膚炎などは慢性炎症性疾患であり、なかなか完治せずに遷延化することが多いのが現状です。そのため、患者さんの多くがquality of life (生活の質)の低下に苦しんでおり、より良い治療を求めてインターネット検索やマスコミの報道を頼りにしています。その中にはマスコミの過剰報道を鵜呑みにしてステロイドの外用を拒否し、アトピービジネスを始めとするさまざまな民間療法に翻弄されている患者さんも多数見受けられます。このように多くの情報が世の中に氾濫している中で、「日常生活において本当に気をつけなればならないことは何なのか」、「疾患について現在どこまでわかっていて今後どのような治療が可能であるのか」など、信頼できる確かな情報をこれからも提供していきたいと考えています。また、今まで培ってきた物事を科学的に観察し、その結果を論理的に分析する姿勢を忘れずに、今後もフィジシャン・サイエンティストとしての外来診療を続けていくことにより、少しでも地域医療に貢献したいと考えています。エムズ皮膚科クリニックは、肌のふれ合いをとおしてみなさまのお役に少しでも立ちたいと切に願っています。
昭和60年 | 北海道旭川東高等学校卒業 |
平成4年 | 北海道大学医学部卒業 |
平成4年 | 北海道大学医学部皮膚科学講座研修医 |
平成5年 | 市立釧路総合病院皮膚科研修医 |
平成6年 | 新日鐵室蘭総合病院皮膚科科長 |
平成7年 | 北海道大学医学部附属病院皮膚科医員 |
平成11年 | 北海道大学大学院医学研究科博士課程卒業 |
平成11年 | 米国テキサス大学 サウスウェスタンメディカルセンター皮膚科留学 |
平成15年 | 同大学皮膚科助教授 |
平成19年 | 小林皮膚科クリニック副院長(札幌市北区) |
平成21年 | エムズ皮膚科クリニック開設 |
平成12年 | 北海道医学会賞 |
平成12年 | Dermatology Foundation Research Award |
平成15年 | Society for Investigative Dermatology Travel Fellowship |
平成15年 | American Cancer Society Institutional Research Grant |
平成16年 | Dermatology Foundation Research Career Development Award |
Mummert M, Mohamadzadeh M, Mummert D, Mizumoto N, Takashima A: Development of a peptide inhibitor of hyaluronan-mediated leukocyte trafficking. J Exp Med 192:769-779, 2000. (JEMの論文です)
Mizumoto N, Iwabuchi K, Ato M, Shibaki A, Kawashima T, Kobayashi H, Iwabuchi C, Ogasawara K, Ohkawara A, Onoe K: Enhanced contact hypersensitivity in human monocyte chemoattractant protein-1 transgenic mouse. Immunobiology 204:477-493, 2001. (学位論文です)
Mizumoto N, Kumamoto T, Robson SC, Sevigny J, Matsue H, Enjyoji K, Takashima A: CD39 is the dominant Langerhans cell-associated ecto-NTPDase. Nature Med 8:358-365, 2002. (ネイチャー・メディシンの論文です)
Matsue H, Edelbaum D, Shalhevet D, Mizumoto N, Yang C, Mummert ME, Oeda J, Masayasu H, Takashima A: Generation and function of reactive oxygen specics in dendritic cells during Ag presentation. J Immnol 171:3010-3018, 2003. (JIの論文です)
Mizumoto N, Mummert ME, Shalhevet D, Takashima A: Keratinocyte ATP release assay for testing skin irritating potentials of structurally diverse chemicals. J Invest Dermatol 121:1066-1072, 2003. (研究皮膚科の論文です)
Mizumoto N, Takashima A: CD1a and langerin: acting as more than Langerhans cell markers. J Clin Invest 113:658-660, 2004. (JCIの総論です)
Mizumoto N, Gao J, Matsushima H, Ogawa Y, Tanaka H, Takashima A: Discovery of novel immunostimulants by dendritic cell-based functional screening. Blood 106:3082-3089, 2005. (ブラッドの論文です)
Mizumoto N, Hui F, Edelbaum D, Weil MR, Wren JD, Shalhevet D, Matsue H, Liu L, Garner HR, Takashima A: Differential activation profiles of multiple transcription factors during dendritic cell maturation. J Invest Dermatol 124:718-724, 2005. (研究皮膚科の論文です)
Ogawa Y, Mizumoto N, Tanaka H, Matsushima H, Takashima A: Identification of novel pharmacological activities of an antifungal agent, nystatin, to promote dendritic cell maturation. J Invest Dermatol 126:349-353, 2006. (研究皮膚科の論文です)
Mizumoto N, Tanaka H, Matsushima H, Vishwanath M, Takashima A: Colchicine promotes antigen cross-presentation by murine dendritic cells. J Invest Dermatol 127:1543-1546, 2007. (研究皮膚科の論文です)
Matsushima H, Tanaka H, Mizumoto N, Takashima A: Identification of crassin acetate as a new immunosuppressant triggering heme oxygenase-1 expression in dendritic cells. Blood 114:64-73, 2009. (ブラッドの論文です)
Tanaka H, Matsushima H, Mizumoto N, Takashima A: Classification of chemotherapeutic agents based on their differential in vitro impacts on dendritic cells. Cancer Res 69:6978-6986, 2009. (キャンサー・リサーチの論文です)